大きな木の下へ、寄り道をする by Arata Kanamori
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 環境計画デザインコース
僕はこの1年間、自分や人の幸せや健康について真剣に考えていました。
そのうち、「寄り道」という言葉が浮かびました。
自分にとって、寄り道をする気になれることや、その先で、小さなことに感動したり、美しいものごとを見つけられる事が、自分が良い状態である一つの指標になっていると思ったからです。
そのような心をこの先も忘れずに持っていたいです。
この場では皆さんにも寄り道の提案しています。この場で体感したことや自分が見つけた些細なことを今日はぜひ大切に持ち帰ってみてほしいのです。
コンセプト
普段、人が出入りしない場というのはその一方で、多くの人の発見や感動体験の余地がある場でもあります。心地よい場であるにも関わらず人が滅多に足を踏み入れない生垣の中へ作者が寄り道をしたことからこの作品は始まりました。
この作品はこの場の象徴である大らかな木に支えられることで、一部の構造を保っています。作者の心の拠り所であったという意味の他に、場を体感した上で、場から読み取ったものを地の利として捉えながら大きなスケール感を実現する事で、鑑賞者も「見る」という立場から「入る」という立場へ気持ちと動詞が切り替わります。
彫刻の一筆書きによるリズムは生垣の中へと人を引き込む一方で、中へ入った人の空間への意識が生垣の中だけに留まらず、生垣の外や足元の草木、見上げた木の奥に透ける空にまで意識を広げることができる場を目指しました。この考えを踏まえ、寄り道が億劫にならない心持ちと寄り道をした先から意識の視野が広がる感動体験のきっかけになりうる環境を1つのカタチと場によって体現しました。
words: Arata Kanamori
CREDIT
作品名:大きな木の下へ、寄り道をする
“Making a detour to under the big tree”
氏名 :金森 新
学校名: 武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科環境計画デザインコース
卒業年:2021
応募カテゴリー:インスタレーション