日々/DAILY by Hibiki Ito
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 インテリア専攻
習慣には人々の暮らしを豊かにするために繰り返されてきた“日々の”行動や行為がある。 何気なく行なっている行動でも人の欲や気持ちの切り替えなど内面的な考えが働いている。例えば、 “片付ける、整理をする”という行動には 気持ちを整える、リフレッシュすること。 “水を注ぐ”という行動には命をつなぐこと。 といったように。
今日の意識的な行動が、明日も、明後日もその先も続き、無意識に行われるようになったとき習慣が生まれる。自分が毎日繰り返してきた1つの行動。 その積み重ねはどのくらいになるのだろう。 自分がなんとなく生きてきた1日の積み重ねはどのくらいになるのだろう。
そこで、このカタマリひとつを自分の過ごした1日として、その集積を作品にした。
1つ1つの白いカタマリは石膏でできています。毎日自分のなかのルーティンを繰り返していても同じ日は全くない。石膏をつくる時についできてしまう気泡がその違いを表現しています。
また、石膏は固まる時に熱を発します。その現象がたしかに、その1日、熱をもって生きた印のように感じました。 そして、小さい石膏のカタマリは冷たくて時間が経つと軽くなります。その姿が、過去の一日。記憶や思い出として存在している。そんな印象を受けました。
制作時(2020.1.13)、22歳を迎えようとしていた私は8,003日生きてきた。 8,003個のカタマリが自分の身のまわりを取り囲んでいる。
教室をトリミングするように1つ1つならべられた空間をみて多いと思うか、まだまだこんなものか。と思うか。 これからも増え続けるカタマリを想像して、何かを感じるか。何気ない1日を振り返りこれからを見つめることができ、同世代のひとに響く作品になってほしい。
words: Hibiki Ito
CREDIT
作品名:日々/Daily
氏名 :伊藤 響
学校名:武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 インテリア専攻
卒業年:2020