Die mondblume ~月の花商會~ by Shoya Miki

武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 セノグラフィーコース

 
 

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「ひっそりと佇む扉があった。そこは誰もいない、朽ち果てた動物と大きな機構で動く小さな花の玩具のみがある玩具屋。ある夜動かなかったはずの玩具達がゆっくりと姿を現した。その夜、空は月の光で満ちていた。」

この作品はアイナール・トゥルコウスキー作「月の花」という絵本をモチーフに作った。

「月の花」では、月が満ちた時に咲く花の話であるように、月が満ちる時に動きだす朽ちた玩具達が住む玩具屋を製作した。青白く染まる月光の中、ドヴュッシーの「月の光」の音色と共に玩具達が動き出す。

この作品を作るにあたってコンセプト及びテーマが二つある。

私は「Decay(朽ちる)」というテーマで作品を作っている。特に木材と鉄を組み合わせた作品が多い。この作品も流木と鉄をメインに作っているが、有機的な流木と無機的な鉄、異なる二つの素材はどちらにも「Decay」を感じる。枯れてゆく木、錆びていく鉄、その中に”生”や”時間”、”儚さ”を含んだ物語があるからだ。

もう一つは私の職業である舞台美術が関係している。私は舞台芸術、特に舞台美術の道に進んでおり、公演を行っている。私の中で舞台芸術は美術(装置、衣装、照明、音響)と観客によって成立していると考えている。あえて役者という存在を省いたのだが、私の中で「役者」はある意味で美術、その物語(メッセージ)を伝えるための一つに過ぎず、必ずしも必要な存在だとは考えていない。そこでこの作品は役者のいない、美術による舞台芸術としての実験的作品になった。

動く美術(玩具)が役者としての働きを担うのだ。

この二つのテーマを「月の花」、そして玩具屋という言葉を借りて作品を制作した。

words: Shoya Miki

 

CREDIT

作品名:Die mondblume~月の花商會~

氏名 :三木翔矢

学校名:武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 セノグラフィーコース

卒業年:2020

 

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