靡 by Yohei Nishiyama

武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 インテリアデザイン専攻

 
 

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静岡県伊東市にある大室山にリフトで登った事がある。

風に靡かれる草木はどこか踊っているようで楽しげに見え、無心で眺めていた。

しかし、大室山は草木たちだけの楽園でありながらも一年に一度、山全体を焼却する「山焼き」という文化がある。

この大室山の草木から着想を得た「靡」で焼かれて無くなる草木のらしさである「靡くこと」を切り取った作品を作ろうと決めた。

植物の持つ"らしさ"を無機物という制約を自身に課して、どのようにすれば空間的表現が出来るかを考えた。

植物らしさとは風によって「靡く(なびく)」事にある。靡く対象が無機物だとしても見る対象はそれを有機的に脳がイメージを起こし、捉える。また、靡く事で発生する環境音そのものも植物的心象を起こす事が出来る。靡かれる植物は有機的なリズム感と心地よさを与え、見る対象を「無心」の境地に持っていってくれる。

「無心」というのは元々は仏教からきた概念である。欲望や妄想を持つ事なく、ありのままの状態で生きること。無心は心を洗い流して幸せの尺度を下げてくれる。そこに存在するという些細なことで安らぎを感じる事ができる。

空間に存在する確かな対象は「靡」だけ。「靡」以外の全てを消し取ったので、見る対象が無心の境地に至ってもらえると幸いだ。

words: Yohei Nishiyama

 

CREDIT

作品名:靡(なびき)

氏名 :西山洋平

学校名: 武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科インテリアデザイン専攻

卒業年:2021

応募カテゴリー:インスタレーション

 

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