The Street City Arcadia by Izumi Yano

熊本大学 工学部 土木建築学科 建築教育プログラム

 

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昨今の映画において、私たちは昔ながらの街や田園風景などを見ては、感動する機会が多い。これは技術発展に伴い、我々の住んでいる都市が均質化し、それらの風景が暮らしの中で失われつつあるからであろうか。かつて私達の暮らしは地球環境に順応していたが、「土地」による開発で、窮屈で面的な都市を形成した。路上生活者はどうであろう。彼らは、「都市の幸」を享受した、自由で土地に縛られない暮らしをしている。

敷地は、大阪市西成区萩之茶屋 1-3で、かつて「あいりん労働センター」があった場所である。ここは、路上生活者が不法占拠して暮らす場で西成区のシンボルだったが現在解体予定で、西成特区構想による合理的で建て替える街の歴史性や場所性のない開発が進んでいる。私は路上生活者の暮らしを投影し、街のコンテクストを受け継ぐ建築を考える。

大阪市西成地区に住まう路上生活者のヒアリングにより、彼らは都市の要素によって生まれた空間に対し絡み合うように生活をしているとわかった。つまり、路上生活者にとって都市は日常生活の一部であり、私たちにとっての買い物や食事などの多機能を持つ商業施設と考える。そこで、街の風景をモデル化してそれらを組み合わせた商業空間を作り、そこへ住居を絡み合わせた建築によって、路上生活者のような自由で、新しくもどこか街の歴史や場所性の感じられる建築になるのではないか。

西成地区の街に現れる空間要素をモデル化し、それらを融合して、商業空間または住居空間に落とし込んだ。

構成の内住居部分は、路上生活者の暮らしを私たちの暮らしに変換し、商業施設に対して絡み合うように計画した。商業施設は路上生活者にとっての都市の存在に近いため、商業部分は路上生活者に近いようにヒューマンスケールとして、都市要素を組み込み空間要素で交わることで、都市の雑多性が生まれる。エントランス部分(商業施設の顔)は西成区の最も特徴的な傾斜や小さな路地、そのコントラスト的な広場的空間を取り入れた。そのためエントランス部分では広場と路地的な坂の動線の流れがある。

路上生活者が都市に寄生するように暮らすことを、日常的な商業施設を都市の空間融合要素で読み解き、そこへ住居を絡み合わせることでより都市の原風景を味わい、アルカディアとなるような建築として生まれ変わるであろう。


words: Izumi Yano

 

CREDIT

作品名:路上都市アルカディア

氏名 :矢野泉和

学校名: 熊本大学 工学部 土木建築学科 建築教育プログラム

卒業年:2023

応募カテゴリー:インテリアデザイン

 

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