FREITAG Store Kyoto by TORAFU ARCHITECTS
Kyoto, Japan
DESIGN NOTE
既存躯体を露出させたデザイン
前面道路から見通すことのできる開放的な路面店
道工具を備えたDIYワークステーション
photography : Daici Ano
words : Reiji Yamakura/IDREIT
トラフ建築設計事務所が内外装のデザインを手掛けた「FREITAG Store Kyoto」。同事務所にとっては、銀座、渋谷、大阪、ソウルに次ぐ5店舗目のデザインとなった。
「FREITAGのメッセンジャーバッグなどの商品は、カラフルなトラックタープの柄を生かしてつくられたものです。そのコンセプトを建築に当てはめると、既存のペイント跡をそのまま残したり、露わにしたコンクリートの躯体の表情を見せるべきだろうと考え、彼らの店舗では、解体しただけに見えるような雰囲気を丁寧につくるようにしています」と、トラフ建築設計事務所の鈴野浩一と禿真哉は空間デザインのもとにある考え方を語る。
京都での出店予定地は、正面から見て左側はRC造、右側は鉄骨造という混構造のビルの1階だった。「解体前は、壁や柱まわりはすべてボードで覆われていたので、自分たちで壁に穴を開けたり仕上げ材を剥がして躯体の状態を確認した上で、どの部分を残すかを考えながらデザインを進めました。異なる構造の境界にあった空間を二分割する壁は、柱だけを残して撤去し、一つのフロアとしてレイアウトを構成しています。シャッターや腰壁のあった外部との境界には、通りと店舗をつなぐガラス面のファサードをつくり、ショップ部分にはラバー天板を持つ大きな島什器とFREITAGオリジナルのシステム什器を並べ、クリーンな印象を持たせました」。
解体したことで現れた木部はこの建物の個性と捉え、有孔合板を付け足すことでオリジナルアイテムを製作できるDIYワークステーションに生まれ変わった。
コンクリートや鉄骨が露出した荒々しい空間を気に入り、ファクトリーのような雰囲気を望んだスイスのFREITAGチームとのコミュニケーションにより、赤い表示灯のある警報装置をわざと目立つ位置に設けたり、黄色と黒のストライプ柄を加えるなど、本国側との連携を楽しみながらのデザインだったと二人は振り返る。外壁に描かれた実物大のトラックは、本国のグラフィックチームが描いた絵柄を現地でペインターが再現したもので、ブランドアイデンティティーを伝えるサインとして機能している。
(文中敬称略)
DETAIL
所在地:京都府京都市中京区井筒屋町400-1
経営: FREITAG
用途:物販店
開業:2019年12月
面積:97m2
仕上げ材料
床・天井:既存
壁:既存 一部白塗装 木毛セメント板 DIYワークステーション・有孔合板
什器:FREITAG支給壁面什器「V100」
照明器具:ボックス型照明特注製作(LEDベースライト+アルミニウムルーバー)