YOTSUYA DENTAL OFFICE by Joint Center

Clinic | Tokyo, Japan

YOTSUYA DENTAL OFFICE | Joint Center | photography : Daiki Morita

 

DESIGN NOTE

  • 木目で温もりを演出したデンタルクリニック

  • 患者視点で考えるデザイン

  • 機能性から導かれたレイアウト

EN

photography: Daiki Morita

words : Reiji Yamakura/IDREIT

 
 

温もりのある木目に包まれた「四ツ谷デンタルオフィス」は、都心のオフィス街に位置するデンタルクリニックだ。デザインを手掛けたのは、クリニックの設計に豊富な経験を持つ、原兆英率いるジョイントセンター。

「クリニックの設計では、私たちはいつも患者さんの立場になり、先生を信頼できるような空間にすることを重視しています。ここでは、現場を訪れたときに、6階建のビル内の1階という立地だったので、通りから見たときに安心して来院できる雰囲気にしたいと考えました。また、ビル内にあるイメージを覆したいとも考えました。そこで、すべて木で包まれたような空間にすれば、やさしく温かい雰囲気にできるのでは、と考えたのです」と当初のアイデアを原兆英と原成光の二人は振り返る。

温かみのあるインテリアの素材として、明るい色合いのナラ材を選択。カウンターまわりには人工大理石や挽板を用い、一部にはコストやメンテナンス性の面から塩ビシートや化粧板を組み合わせたという。「手元にくる部分には本物の素材を使い、壁には木の桟を組み合わせるなど、ディテールを工夫しながらデザインを進めました。また、木だけでまとめたインテリアは綺麗ですが、オリジナリティーという面では物足りないので、ポイントとなる部分には、作家に特注したオリジナルのペンダント照明を用いています」と意匠的なポイントを説明する。

また、診察エリアのパーティションは、限りあるスペースを広く見せるために天井から吊ったものだ。表面にはファブリックを貼り、吸音性を持たせるとともに、優しい雰囲気づくりに配慮している。プランニングで個性的なのは、30坪というコンパクトな医院内にスタンディングカウンターがある点だ。これは、医師とスタッフとのちょっとした打ち合わせなどに使えるようにしたもので、一般的には通路などで立ち話をすることが多いスタッフ同士のコミュニケーションに活用されているという。

「どんな業種でもそうですが、小さな空間ほど難しい。動線、求められる機能を熟知していないと良いものはつくれません。ただ、ここで一番大切なのは、デンタルクリニックという概念をなくして見た時に、訪れる人にとって“優しい”かどうかなんですよ」と原兆英は笑顔で語る。街行く人に緊張を強いるようなクリニックはここにはふさわしくない。こんなアートをスタイリングすれば、上質な癒しの雰囲気になる。そうした、一つひとつの経験に基づいた判断の積み重ねが、洗練されたやわらかな空気をつくっている。

(文中敬称略)

 

DETAIL

デザイン上のポイントとして設けた、和紙を用いたオリジナルのペンダント照明のディテール。

レセプションと診察エリアを仕切るガラスドアの取っ手は、手触りにこだわりオーク材で製作したもの。また、ドアには視線高さだけを遮るパターンが用いられた。

診察スペースには、できるだけ狭さを感じさせないようオリジナルのパーティションを天井から吊った。張り地には見た目の温かさと吸音性の面からウールを採用

 

CREDIT

名称:四ツ谷デンタルオフィス

設計:Joint Center 原兆英 原成光

照明計画:ワイライツ

特注照明:ユーシンライティング

施工:建創

所在地:東京都新宿区四谷三栄町12-7  Terrace Site 四谷 1F

経営:飯田 聡

用途:歯科医院

開業:2019年1月 

面積: 87.45m2

仕上げ材料

床:塩ビタイル

壁・天井:ビニルクロス

受付カウンター・施術エリアカウンター:天板/人工大理石 側板/メラミン化粧板

吊りパーティション:フレーム/スチールt9焼き付け塗装 + ファブリック張り(ウール)

ガラス建具取手:オーク無垢材

オリジナル照明:特注和紙シェード

 

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