T-HOUSE New Balance by Schemata Architects

Tokyo, Japan

T-HOUSE New Balance | Schemata Architects | photography: Kenta Hasegawa

T-HOUSE New Balance | Schemata Architects | photography: Kenta Hasegawa

 

DESIGN NOTE

  • 築122年の蔵の構造を使ったコンセプトストア兼デザインスタジオ

  • 新築、蔵、新設什器による3レイヤーの構成

  • 古材を生かした什器システム

EN

photography : Kenta Hasegawa

 
 

川越で解体撤去される古い蔵を引き取り、約40キロ離れた日本橋浜町に移動し、再建したプロジェクトです。ただ、新たな場所が防火地域ということもあって、そのまま建てるわけには行かず、それを覆うように全く異なる構造で新築し、その中に移動させてきた軸組を改めて組みました。つまり、その時、その古い軸組は機能的にはなくてもいいもので、まるで博物館の古民家展示みたいにハリボテになりかねないものでした。それが気になっていて、そこからこのプロジェクトの考えが始まった。このT-HOUSEはニューバランスがブランドをリードする原動力「エナジープロジェクト」として設立した新しいスペースで、世界の中で日本が選ばれたのはやはりものづくりの国としての評価とともに、アジア戦略の拠点として見据えられていた結果であろう。そして、同時にそのキャラクターとしても日本らしさが期待され、蔵の移築が承認を受けて進んだ。その後、我々のところに依頼があった。最初にその依頼を聞いた時、それは普段全く着ることがないのに、海外で行われる表彰式などに着物を着るような感覚と同じで、日本らしさを意識させられるプロジェクトであると感じ、そのままそれを演じるわけにはいかないと思ったが、なかなか覆す術が見つからず、悩んだ。その悩みを吹き飛ばしてくれたのが、その蔵の骨組みを組んでいる職人さんだった。偶然にも、その蔵の柱に補強のための貫という水平部材があって、その貫を差し込む穴が元々柱にあってそこを利用して即席掃除用具置場、最近、我々でいう”まかない家具”を作っていて、それを見たことがきっかけだった。それを見て、ああ、そうか「建築、そしてこのハリボテの蔵の骨組、さらにその先にその骨組みを利用し機能を与えることで、そのハリボテが機能し、ハリボテじゃなくなる」と考えたのだった。

words: Jo Nagasaka/Schemata Architects

 

長坂常さんにT-HOUSE New Balanceの詳しいコンセプトを聞いたインタビューはこちら


DETAIL

蔵の軸組みは部分的に補強した上で、新築の鉄骨建屋内にて組み立てられた。

蔵の軸組みは部分的に補強した上で、新築の鉄骨建屋内にて組み立てられた。

什器として活用するための取り外し可能な部材は、溶融亜鉛メッキ鋼板とMDFで製作された。

什器として活用するための取り外し可能な部材は、溶融亜鉛メッキ鋼板とMDFで製作された。

貫(ぬき)のような部材には照明器具を取り付けることができる。

貫(ぬき)のような部材には照明器具を取り付けることができる。

2階はデザインスタジオのオフィスとして使われている。

2階はデザインスタジオのオフィスとして使われている。

白い引き戸の内側には、格子状の蔵戸が再利用された。

白い引き戸の内側には、格子状の蔵戸が再利用された。

 

CREDIT + INFO

名称:T-HOUSE New Balance

設計:長坂常/スキーマ建築計画オンデザインパートナーズ

 (担当:内間絢美、上野 黄、大西康隆/スキーマ建築計画

照明計画:遠藤照明

施工:ワクト、山翠舎(蔵移築再生)


所在地:東京都中央区日本橋浜町 3-9-2

経営: 株式会社ニューバランスジャパン

建築主:安田不動産株式会社

用途:物販店舗(1F)、オフィス(2F)

開業:2020年7月

面積:123.08m2( 1F 71.54m2 / 2F 51.54m2 ) 

仕上げ材料

床: モルタル

壁・天井:断熱材吹き付け

什器:溶融亜鉛メッキ鋼板 + MDF

 

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