CATENA — 独立揺動型モアレ by Marie Hawken
東京都立大学大学院 システムデザイン研究科 インダストリアルアート学域
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独立揺動型モアレ『CATENA』
重力と外力が織りなす空間のゆらぎ
『CATENA』は、環境に呼応し、自然で有機的な「ゆらぎ」を持つモアレを生み出す空間表現である。
建築や空間デザインにおいて、モアレはダイナミックな視覚効果として用いられている。しかし、従来の表現はガラスや金属パネルなどの「硬質な面」全体を機械的にスライドさせる手法や、鑑賞者の視点移動に依存する手法が主流であり、そこから生成されるモアレの動きは均質なものであった。本プロジェクトでは、一本一本の線材が個別に揺れ動く「独立揺動型」のモアレシステムを考案し、均質なモアレの動きからの脱却を図った。設計の核となるのは、ロープの両端を持って垂らした際に、重力によって自然に描かれる「カテナリー曲線」である。この曲線状に配置された線材は、人が傍を通った時の微風や、指先でのわずかな接触といった外力を受けると、一本ずつバラバラに揺らぎ、波のようにうねる予測不能なモアレを生み出す。そして外力が消えると、重力の復元力によって元のカテナリー曲線へと静かに戻っていく。
環境による「乱れ」と、重力による「秩序」の永続的な往復運動。モーター等の人工的な動力は使用せず、微小なエネルギーと普遍的な物理法則のみを利用して、空間に呼応して揺らぐモアレを持続的に生成する。
本システムは、原理の純粋な提示である平面モデル「PLANA」、支点移動により重力バランスと形状が連動して変化する動的モビール「MOBIA」、そして入れ子構造によって光の反射位置が絶えず瞬く立体照明「LUMIA」という、3つの異なる空間装置として展開した。
厳密な数学的計算と、コントロールしきれない自然のふるまいの境界線。『CATENA』は、空間に心地よい余韻を与える、新しい知覚の装置である。
words: Marie Hawken
CREDIT
作品名:CATENA — 独立揺動型モアレ
氏名 :ホーケン 舞理衣
学校名:東京都立大学大学院 システムデザイン研究科 インダストリアルアート学域
卒業年:2026
応募カテゴリー:インスタレーション