賑わいを滲透させ、人々を収斂する —日常にひらかれたアリーナ by Suzuna Okabe
東海大学 建築都市学部 建築学科 岩崎研究室
近年整備が進むアリーナ施設の多くは、イベント時の収容効率や演出性を重視する一方、平常時の地域利用は限定的である。有明アリーナや沖縄アリーナに見られるように、機能や文化への配慮はあるものの、地域住民の日常から切り離された特定用途の巨大建築となり、日常的な利用や関係性の構築が十分になされていない点が課題として挙げられる。
そこで本計画では、地域住民の日常から切り離されてきた従来のアリーナ施設のあり方を捉え直し、空間構成および動線計画を通じて、非日常のイベントと日常的な地域活動とが連続するアリーナ施設を提案する。
提案敷地は富山県富山市富岩運河環水公園の南東側に隣接する。富山市は、都市課題により日常的に人々が立ち寄り、世代を超えた多様な活動が生まれる拠点の創出が求められている。本計画敷地は、公共交通軸の起点に位置し、駅や公園、既存の公共施設と隣接することから、人の流れを受け止め、周辺へと波及させる潜在力を有する。
以下の三つの空間操作を通じて、アリーナ施設を日常的な都市空間と連続する建築として位置づける。周辺環境に溶け込みながら人々の多様な活動を受け止める場を構築することで、アリーナ施設と地域との物理的・心理的な隔たりの緩和を図る。
① 収斂性(しゅうれんせい)を高めた動線計画
施設全体を多方向からの人の流れが収束する収斂的な形態として構成し、来訪者動線を分散化する。イベント時の円滑な人流処理を可能にすると同時に、公園や駅といった周辺都市要素との連続性を高め、地域内外の人の流れを受け止める拠点として機能させる。
② 複合のメリットを活かす配置計画
従来は隣接建物や別棟に分離して配置されることの多かったレストランやスポーツジム等の諸機能を、アリーナへ至る主要動線に沿って配置する。また、通路をアリーナ空間へ積極的に介入させ、その一部を客席として取り込むことで、動線と観客空間の境界を曖昧化させる。
③ 環境にとけこむ断面計画
外周部に低層のヒューマンスケール空間を段階的に配置する。巨大な内部空間と周辺都市との間に緩衝領域をつくることで巨大建築の威圧感を緩和させる。
以上により、本計画はアリーナを平常時にも人々が立ち寄る都市的拠点として再構築する。公共交通や公園と連続する動線計画によって人の流れを再編し、これまで分断されていた活動をつなぎ直すことで、富山市における新たな都市の結節点となることを目指す。
words: Suzuna Okabe
CREDIT
作品名:賑わいを滲透させ、人々を収斂する—日常にひらかれたアリーナ- / Urban Permeation and Convergence
氏名 :岡部鈴菜
学校名:東海大学 建築都市学部 建築学科 岩崎研究室
卒業年:2026
応募カテゴリー:インテリアデザイン