ECCO Tokyo Shibuya by Keisuke Fujiwara Design Office

Shoe shop | Tokyo, Japan

ECCO Tokyo Shibuya | Keisuke Fujiwara Design Office | photography: Satoshi Asakawa

 

DESIGN NOTE

  • Labをコンセプトに開発されたシューズ専門店

  • 規則正しいグリッド状のシェルフ

  • 超小型スポットライトによる照明計画

EN

photography: Satoshi Asakawa
words : Reiji Yamakura/IDREIT

 
 

Keisuke Fujiwara Design Officeの藤原敬介さんがデザインを手掛けた、デンマーク生まれのシューズブランドECCOの旗艦店「ECCO Tokyo Shibuya」。渋谷の明治通り沿いの路面店という立地が決まった後、既存のデザインマニュアルにとらわれない新たな店づくりの依頼を受けたと藤原さんは計画当初を振り返る。そして、都内の店舗をクライアントと共に見て回り、課題をヒアリングしながらデザインを検討していったという。

デザインの過程について藤原さんは、「これまでの店舗は、木素材を多用したナチュラルな雰囲気が特徴でした。しかし商品について知るうちに、彼らはシューズに対してとても研究熱心で、実験的なブランドであることを強く感じました。そこで私たちは “ECCO Lab”をテーマに、研究室のような空間をつくりましょう、というプレゼンテーションを行いました。ラボを構成するビーカーや顕微鏡などの実験器具、白衣などのイメージをもとに、ガラス、金属、発光面、規則的な造形、といった要素を抽出しました。次の段階では、動き、フレーム、高低差、魅せるストック、などのより具体的なデザイン要素へと変換しながら、ECCOに相応しい空間を形づくっていったのです」と話す。

藤原さんによる提案は、即座にクライアントの共感を得て、ECCO Labをコンセプトとしたデザインが進行していく。店内に並ぶ規則正しいグリッド状の棚については、次のように語ってくれた。「シューズ専門店では、壁際に靴の幅に合わせた浅い棚が並ぶことが一般的です。しかし、私たちは棚に奥行きがあれば、さまざまな見せ方のアレンジが可能だと考えました。また、VMDの担当者と既存店を視察した際、商品一つひとつに照明を当てることができず、どうしても影になってしまう部分があるという課題を聞いていたので、指先ほどのサイズで可動式の超小型スポットライトをすべての棚板に設けることで、商品を個別に照らせるようにしました」。棚を構成する縦横の部材は25mm角で統一し、その幅の中にスポットライト専用の細い配線ダクトを納めることで、フレキシブルな照明計画と整然とした見栄えを両立している。「施工者である近創の皆さんが粘り強く、丁寧につくってくださったからこそ実現できたことです」と藤原さん。一部の商品が並ぶライザーには、実験器具のイメージから分厚い透明アクリル板を採用。棚板にも透明度の高いアクリル板を用いることで、ガラス棚とは異なる無色透明のシルエットをつくり上げている。

また、棚の台座となる、立体的な白いディスプレイテーブルもユニークだ。台形の店舗区画に対して外周部に通路を設け、その内側エリアがそのまま什器の外形となったものだ。ディスプレイテーブルの随所にある高低差については、感覚的にデザインしていった藤原さんは語るが、あるコーナーでは試着に欠かせないベンチなり、その下部は収納に活用するなど、彫刻的なフォルムでありながら機能的な設えとなっている。

 

2階店内の様子。左手前にある2面のインタラクションモニターは、上部のシューズを手に取った瞬間に映像が流れる

 

藤原さんがこだわったという、2階什器の天板上に置かれた二つのモニターも見逃せない。「都市におけるメディアとして機能させたいという考えから、インタラクションモニターを設置しました。これらはラボ的な空間の中で、“動き”を表現する大切な要素であり、計画当初から構想していたものです。映像は、商品開発の背景からインスピレーションを得て、水をテーマにした四つのオリジナルムービーを、東京都立大学の私の研究室の学生や卒業生らの協力を得て制作しています」。モニター上に置かれたシューズを手に取った瞬間に数秒の映像が流れるように設定されており、来店者に驚きを与える仕掛けとなっている。超小型センサーを用いて実装されたモニターシステムはクライアントにも大好評で、1階売り場にも新設したいと要望されていところだという。また、フロア間をつなぐ階段には、ECCOのクラフトマンシップを伝えるビジュアルを用い、また、ステンレス鏡面の手すりや、手すり周囲の凹部に照明を配するなど、ラボを標榜した素材使いは細部の意匠にまで徹底されている。この渋谷店の開発は、ファッション分野での店づくりに長けたデザイナーによるブランド価値の“再解釈”が、オリジナルの空間デザインに結実したものと言えるだろう。

 

DETAIL

25mm角のスチールパイプで構成されたシェルフには、指先サイズの超小型スポットライトが各棚板下に設けられた。ディスプレイ什器の手前側はベンチとして機能する

階段室にはECCOのクラフトマンシップを象徴する写真を使用。手すりはステンレスの鏡面仕上げ

 

CREDIT

名称: ECCO Tokyo Shibuya

設計:Keisuke Fujiwara Design Office 藤原敬介 + Pond Design Laboratory 沼野 航

インタラクションモニターエンジニア:須田拓也

映像:鳥生菜々子

照明計画:櫻井 悠

施工:株式会社 近創

所在地:東京都渋谷区神宮前6-23-1

経営:エコー・ジャパン株式会社/ECCO Japan Co., Ltd.

開業:2025年9月、

面積:93.07m2

用途:物販店

仕上げ材料

床:モルタル防塵塗装

壁:既存 + PB t12.5下地AEP 一部インクジェット印刷シート

天井: 既存(デッキプレート)AEP

ディスプレイ什器:フレーム部分/25mm角スチールパイプ焼付塗装+透明アクリルt10   ベース部分/コーリアン+メラミン化粧板

照明器具:棚下スポットライト/マイクロライトキャノン(トキスター)

階段手すり:ステンレスφ38mm 鏡面仕上げ

天井ボーダー:ボンデ鋼板メラミン焼付塗装

 

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