ARIAKE RESIDENCE by I IN
Tokyo, Japan
ARIAKE RESIDENCE | I IN | photography: Tomooki Kengaku
DESIGN NOTE
コンセプトを反映したオリジナルのアート
金箔と銅箔によるグラデーション
ブロンズ色のオリジナル照明
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photography : Tomooki Kengaku
words : Reiji Yamakura/IDREIT
2018年に東京で設立されたデザイン事務所、I INが手掛けた、高層マンション内のリノベーション計画。
施主にとって思い入れのあるブロンズ色を取り入れてほしいという要望から、改装範囲のリビングルームとアプローチ部分のキーマテリアルとして銅を用いたデザインが進められた。I INの照井洋平と湯山皓は、「いわゆるマンション然とした間取りに広がりを与えるため、リビングルームと個室間の間仕切り壁を撤去し、部屋の奥行きを強調し、空間全体を包み込むような全長約5mの銅色の特注ペンダントライトを吊りました。また、ダイニングとソファスペースの間には同じ仕上げを用いたオリジナルの照明スタンドを設けています」と語る。どんな用途の空間でも照明の扱いを常に意識するという彼らは、梁上に間接照明を配し、天井と壁にはテクスチャーのあるクロスを選んだ。
アクセントとしてブロンズ色を取り入れたデザインを進める過程で、寝室にゴールドの家具が置かれることがわかり、その間にある廊下には2色を繋ぐオブジェがあるとよいのでは、というアイデアから、金沢の金箔メーカー、箔一の協力を得て、I INによるオリジナルのアートが製作された。
「数多くある金箔、銅箔の中からこの空間にふさわしい二色を選び、それらをグラデーション状に中央で混ぜ合わせることで、この改修計画のコンセプトを表現する作品としました。箔はとても薄くもろい素材なので凹凸のある表現は難しいのですが、特殊な素材の下地を用いることで立体感を実現しています」と2人は振り返る。柔軟な発想から生まれた、光を受けてさまざまな表情を見せるオリジナルのアートピースが、空間に強い個性を与えている。
(文中敬称略)
DETAIL
リビングルームへ至る廊下に設置された、金箔と銅箔をグラデーション状に用いたアート。左奥に見える開口部の先がリビングルーム。廊下との間にあったドアは、枠を含めて撤去したという。
コンセプトカラーであるブロンズ色の素材を用いた特注の照明スタンド。天井から吊ったペンダント照明にも同色の素材を使用している。
金箔と銅箔を使った制作前のスタディ(写真上)と、箔一での制作中の様子(写真下) 写真提供/I IN
CREDIT
名称: ARIAKE RESIDENCE
設計:I IN
アート制作 : 箔一
特注家具制作 : THE TRUE
施工:アイクス
・
所在地:東京都
竣工:2020年5月
面積:52m2(改装範囲のみ)
仕上げ材料:
床 / 既存フローリング
壁・天井 / クロス貼り
オリジナルアート / 金箔、銅箔貼り(箔一)
特注ペンダント照明 (THE TRUE) / スチール銅メッキ古美加工
特注スタンド照明 (THE TRUE)/ 天板・アメリカンウォールナット突き板 + 脚・スチール銅メッキ古美加工 + ファブリック製シェード
家具 / テーブル・BOBOLI(Cassina IXC.)、椅子・SWEEP(INTERIORS)