BAO BAO ISSEY MIYAKE Ginza by MOMENT
Fashion store | Tokyo, Japan
BAO BAO ISSEY MIYAKE Ginza | MOMENT | photography : Fumio Araki
DESIGN NOTE
クラフトマンシップを象徴する、鎚起したアルミ
繊細さを追求したディテール
ワンマテリアルで構築されたブランドストア
















photography : Fumio Araki
words : Reiji Yamakura/IDREIT
東京を拠点とするデザイン事務所、MOMENTが手掛けた「BAO BAO ISSEY MIYAKE」のデザイン。同じコンセプトで彼らが2015年に設計した既存店の拡張に伴うリニューアルの計画。
2015年当時、生産に高度な職人技術が求められる同ブランドの商品にふさわしく、また、その技術力を空間に表現するため、店舗のメイン素材として手加工による槌目を施したアルミが選ばれた。アルミに確定するまでには、銅や真鍮などさまざまな素材をテストしたという。また、鎚起することで表面に傷ができたり、手打ちで仕上げるためにサイズが厳密に揃わないことが起こるが、そうした傷跡や目違いなども手仕事による風合いとして生かしているとのこと。また、敷地条件に左右されずにブランドの世界観を保つため、店舗全面をこの素材で覆うというルールのもとに、各地の店舗は計画されている。
その後のブランドとしての広まりは周知の事実だが、今回のリニューアルにあたり、「柔らかさと、より繊細な見え方を実現するため、例えば引き出しの小口を薄く見せるディテールのように、同じ素材をさらに緻密に扱いデザインを深化させた」とMOMENTの平綿久晃と渡部智宏は語る。
(文中敬称略)
DETAIL
左手前の引き出し什器は、槌目のアルミ板の3mmの板厚がそのまま外周部に見えるよう緻密にデザインされた。右手ディスプレイ棚の湾曲した部分なども含め、すべて工場で切り出したアルミ板を現場で丁寧に練り付けて施工したもの。MOMENTの二人は「素材の純度を高めて見せるディテールなど細部の積み重ねにより、槌目のアルミに覆わているという肌感覚が増幅する」とデザイン意図を語る。
目違い最小に抑えながら丹念に練り付けられた槌目のアルミ板のディテール。
手仕事で仕上げる素材のため、光の当たり方により隣り合う板と異なる見え方をする部分があるが、その予期せぬ表情が均一な工業製品にはない魅力となる。
所在地:東京都中央区銀座3-6-1 1F
経営:ISSEY MIYAKE INC.
竣工:2019年8月
面積:43m2
用途:物販店
仕上げ材料:
床/カーペット張り
壁/オリジナル鎚起加工アルミ板t3
什器/オリジナル鎚起加工アルミ板t3