HPC® by kooge.co

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DESIGN NOTE

  • 厚さ38mmの超薄肉コンクリート

  • 曲がってしなる靭性

EN

photography : kooge.co(特記除く)

words : Reiji Yamakura/IDREIT

 
 

鳥取県を拠点に50年近い歴史を持つ郡家(こおげ)コンクリート工業によるデザインプロジェクトkooge.coが製造・販売する超薄肉コンクリート「HPC®」は、カーボンワイヤーを緊張材として、プレストレスを導入して凝固させた膨張剤入りのコンクリートだ。最大の魅力は、わずか38mmという薄さを実現したことで、製造には2015年に㈱HPC沖縄が発明、国内特許を取得した技術を用いている。HPC®の名称は、Hybrid Prestressed Concrete(ハイブリッドプレストレスト®・コンクリート)の頭文字に由来する。

郡家コンクリート工業を率いる社長の山根正樹は「以前からお付き合いのあった建築家の縁により、数年前に沖縄で初めて実物を見た時には大変驚き、また、私たちは人がやっていないことや新しい技術が大好きなので当社で製造を手掛けたいと即決しました」と振り返る。技術部門を統括する常務の川本富二男は、HPC®の性能について「緊張材にPC鋼線ではなく錆びないカーボンワイヤーを使うことで被り厚を最小に抑え、またコンクリート内に膨張剤とポリプロピレン系の補強繊維を入れていることがハイブリッドと称する理由です。コンクリート板なのに、曲がってしなる粘り強さがあることが大きな特徴です」と語る。

集合住宅の窓枠にHPC®を用いた施工例。窓枠の出幅370mmの先端は厚さ15mmとした。©︎jin hosoya

集合住宅の窓枠にHPC®を用いた施工例。窓枠の出幅370mmの先端は厚さ15mmとした。©︎jin hosoya

40mm厚のHPC®を床、壁、天井の6面に用いたプレファブ小屋のプロトタイプ。©︎jin hosoya

40mm厚のHPC®を床、壁、天井の6面に用いたプレファブ小屋のプロトタイプ。©︎jin hosoya

受注生産のため、集合住宅の庇にHPC®を用いた施工例では、カーボンワイヤーの入る部分は38mmだが見付部分はテーパーを付けて厚さ15mmまで薄くしたように、彼らの経験を生かしたカスタマイズができることも魅力の一つだ。また、HPC®を壁と天井に用い、ボルトと金物で組み立てるフレファブ小屋のアイデアには、商業系用途での大きな可能性を感じる。

(文中敬称略)

 

DETAIL

上に乗っても、しなる粘り強さがあることがHPC®の大きな特徴

上に乗っても、しなる粘り強さがあることがHPC®の大きな特徴

38mm厚の場合、最大サイズは長さ5m程度という

38mm厚の場合、最大サイズは長さ5m程度という

7本の捻線で構成したカーボンワイヤーを緊張材として使用。

7本の捻線で構成したカーボンワイヤーを緊張材として使用。

水セメント比28%以下のコンクリートに膨張剤や繊維素材を加えている。

水セメント比28%以下のコンクリートに膨張剤や繊維素材を加えている。

 

CREDIT + INFO

名称:HPC®  Hybrid Prestressed Concrete

製造・販売:kooge.co

サイズ:厚さ38mmの場合、幅1.8〜2m × 長さ4〜5mまで対応可能(受注から出荷まで通常1.5ヶ月〜3ヶ月程度)

 

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