BOUQUET by myna.

Light Object (prototype)

BOUQUET | myna.

 

DESIGN NOTE

  • 人の動きを光で伝える照明のプロトタイプ

  • 花を抽象的に表したデザイン

EN

photography : myna.

words : Reiji Yamakura/IDREIT

 
 

中根彩花と山内美歩によるデザインユニット、myna.(ミナ)がDESIGNART  TOKYO 2021に出展した「Bouquet」は、花をかたどったオブジェを花瓶に差すことであかりが灯るプロダクトだ。今回、DESIGNARTに出展するためにmyna.を結成したという2人に、当初のアイデアを聞いた。

「このBouquetは、2021年のDESIGNARTのテーマ『CHANCE!』という言葉を元に2人で考えたものです。現在はコロナウイルスの影響で、人と人との距離を取らなければいけない時代になったため、距離がある中でもお互いの気配を感じることができるものをプロダクトで表現できないかと考えました。かつてあかりがキャンドルだった時代では、火があるところは人がいる目印となり、明るいところは人が集う場所になっていたと思います。そんな情景を想像しながら、“人の動きを光で表す”というアイデアをこのプロダクトに落とし込みたいと考えたのです」

 

ベースに花を差すことで点灯する

 

花の形にしたのは、インテリアに調和する形であり、人に気持ちを伝えるためのコミュニケーションツールとして私たちの生活に馴染んでいるからだ。形状はあまり具体的な花に寄せすぎないほうが良いと考え、性別を問わず、誰もが手に取りたくなるものを目指したという。

開発中に意識したキーワードを尋ねると、「“人と人とのつながり”ということを当初から大切にしていて、このプロダクトを通じて生まれるコミュニケーションをどう可視化するかにこだわった」と振り返る。また、2人はデザインコンセプトの中で、Bouquetを「言葉を介さなくても人の気配を感じられる照明」とも説明している。実際の利用シーンについては、「例えば家の中で、リビングの花瓶に花を差せば自分の居場所を示す目印になります。またカフェのような場所では、花を挿すことで席を使用しているサインになりますし、ウエディングの会場であれば、来場者の数だけ光の花束が大きくなります。このプロダクトに光が灯ることが、人の動きと連動するものであってほしいと考えました」という。

コンセプトが定まった後には技術的なリサーチを行い、ワイヤレス充電の仕組みを採用。花瓶(ベース)側に電源とコイルを配し、花にはLEDによる発光部と導線の機能だけという構成になっている。設計に時間が掛かり、最終的なプロダクトをほぼ自作することになったため、夜な夜なハンダ付けをするなど、製作では完成まで苦労が尽きなかったと二人は笑う。「発光する半透明の樹脂部分は、LEDの強い光を抑えながら花全体がやわらかく光るように調整しました。レジンに専用の白い塗料を混ぜて型に流し込む方法で製作したのですが、気泡を入れずに成形することにかなり苦戦しました。また大小二つのベースは、径の違いで明るさに大きな差がでてしまいましたが、花瓶内にあるコイルを微調整することで、ようやく同等の明るさを実現することができました」。

花は花瓶に差した時により自然に見えるように、茎の長さに3種類のバリエーションがある。また、展示スペースはイタリア人建築家のアルド・ロッシが手掛けたカラフルな空間だったため、色みを抑えたほうがプロダクトが映えるという理由から、茎部分にはシルバーとゴールドの2色が選ばれている。10月末の展示期間中には、実物を見て興味を持ってくれた来場者が多く、今後は「Bouquet」のブラッシュアップを続け、myna.の2人で他のイベントにも出展していきたいと語ってくれた。

(文中敬称略)

 

CREDIT

名称:Bouquet

デザイン:myna. 中根彩花 山内美歩

 

インテリアデザイン・建築系の仕事に特化した求人情報ページ。掲載のご案内はこちら


RELATED POST


#PRODUCT

 

#MOST POPULAR