SIDE TABLE, WAGON for Panasonic Industry by kvalito

Sustainable Project

SIDE TABLE, WAGON for Panasonic Industry | kvalito | photography : Tatsuya Tabii

 

DESIGN NOTE

  • 人造大理石の端材をアップサイクルした家具

  • 不整形な形状をアイデンティティーとしたデザイン

 

photography : Tatsuya Tabii
words : Reiji Yamakura/IDREIT

EN

 
 

kvalitoの水上和哉さんがデザインを手掛けた、サイドテーブルとキャスターワゴン。これらは、ロフトワークMTRLのプロジェクトマネジメントのもと、kvalitoがデザインを行なった「パナソニック インダストリー株式会社」(大阪府・門真市)の実験室改修のためにつくられたオリジナルのプロダクトで、天板にはパナソニック住宅設備株式会社が製造する人造大理石の端材が使われている。

設計に先駆けて、パナソニック ホールディングス株式会社が株式会社ロフトワークと共に取り組んでいた、同じ人造大理石の廃材を活用するプロジェクト(https://loftwork.com/jp/project/panasonic-waste-material-circular-design)を知った水上さんは、そのコンセプトに大いに共感し、同じ材を家具デザインに取り入れることにしたという。

ダイアグラム。端材を4分割した1枚がサイドテーブルの天板に、端材そのまま1枚がキャスターワゴンに使われた

パナソニック インダストリーの実験室のインテリア

「ここで使用した素材は、キッチンカウンターの天板にシンク用の穴あけ加工をする際に出る端材です。コーナー付近には加工時にできる穴が空いているのですが、私自身は、その不整形な形が美しく、また、家具のアイデンティティーになると感じ、そのまま活かすことを試みました。あくまで製造工程で端材として出る材料なので、わずかな個体差があり、それらにアジャストしながら家具として表現していく難しさはありましたが、この素材形状が、建築設計における敷地形状や前提条件にあたるものと置き換え、コンテクストをどう活かすかという視点で、家具の構造とデザインを進めていきました」と水上さんは語る。

端材1枚を、加工せずそのままの形で用いたのがキャスターワゴンであり、サイドテーブルでは4分割した部材が天板となっている。加工のために生じる穴も、素材の特徴として活用したことで、ユーザーにも端材のアップサイクルであることが、間接的に伝わるデザインとなっており、企業の実験室という新たなものづくりの場に、そうしたエシカルな取り組みが内包されていることに大きな意味を感じるプロジェクトだ。水上さんは、これらのプロダクトが実験室に限らず、他の場所でも使われることに期待しているという。実験室のインテリアデザインにおいては、既存の壁や天井には手を加えずに、二種類の径の単管パイプを組み合わせた可変性のあるシステムをもとに空間を構成し、カラースキームは、既存の什器に使われていたグリーンを採用。同じグリーンが、サイドテーブルとキャスターワゴンにも用いられている。

 

DETAIL

人造大理石のキッチンカウンター天板の端材にある、加工時に生じる穴をそのまま生かしたサイドテーブル

キャスターワゴンにも同様の端材を用いている。人造大理石の天板の厚さは7mm

 

CREDIT

名称:サイドテーブル、キャスターワゴン/パナソニック インダストリー実験室改修

デザイン:kvalito 水上和哉

プロデュース・プロジェクトマネジメント:ロフトワーク MTRL 小林奈都子、柳原一也、金 徳済

製作:小林工芸社、クラフト・コフナヤ

完成:2023年

素材 :

〈サイドテーブル〉

人造大理石廃材t7 + φ13 スチール丸棒

〈キャスターワゴン〉

人造大理石端材t7 + スチールプレート

 

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