ISLAND LIVING by DRAWERS
Hyogo, Japan
DESIGN NOTE
朝日を望む、開放的なバスルーム
プレーンなデザインを徹底した人の居場所
オリジナル家具とヴィンテージの組み合わせ
photography : Daisuke Shima
words : Reiji Yamakura/IDREIT
小倉寛之率いるDRAWERSがデザインした、リモートオフィス兼貸別荘「ISLAND LIVING」が2020年9月に竣工した。これは、淡路島の海沿い位置するコンクリート造の家屋を彼らが取得し、フルリノベーションしたものだ。
開発の経緯を小倉に尋ねると「大阪から1時間程度で行き来できる拠点を設けたいと考えており、しばらく前から場所を探していました。丹波篠山、六甲などいくつかのエリアを見ていた頃、淡路島で海まで歩いて数分のこの建物に出合い、立地と建物のポテンシャルから即決しました」と語る。
デザインコンセプトについては「“五感が蘇生していくこと”をテーマに、風が抜ける心地よさを感じたり、波の音を聞いたりしながらリラックスできる場所にしたいと考えました。都市部の計画では、どうしても閉じた空間になってしまうことが多いのですが、ここでは周囲には良い環境があるので、外に対して開かれたスペースにするため、開口部のあり方、光の入り方を大切にしながらデザインを進めました」と振り返る。
扉を設けず緩やかにつながった室内には、プレーンな空間に厳選したヴィンテージや名作家具が並ぶ。また、自社物件だから許されることだと小倉は笑うが、工事中に設計変更した部分も多くあり、現場に通い、昼夜の表情を見ながらコンクリート躯体を見せる部分と白壁のコントラストなどを決めていったという。
この建物を象徴する2階の開放的なバスルームについては、「非日常感を表現したいと考え、2階の東向きのスペースに、床下に構造補強をした上でRC現場打ちのバスタブを設けました。もとの外壁の位置にあったサッシを外側にずらし、バスタブのオーバーフローはバルコニーだった部分に流すよう計画しています。通常、バスルームは視線や湿気を考慮して閉ざすものですが、ISLAND LIVINGでは、日常生活では得られない体験を提供したかったのです」とデザイン意図を説明する。朝日を眺めながらのバスタイムは格別で、夜には、オリジナルのアロマオイルをたらして加湿器のように使ってもらっても良いとのこと。
DRAWERSの経験と嗜好がダイレクトに表れた“人の居場所”は、今までの贅沢さとは異質の、現代の豊かな時間の過ごし方を示しているように思える。
(文中敬称略)
DETAIL
CREDIT + INFO
名称:ISLAND LIVING
設計:DRAWERS 小倉寛之
照明計画:NEW LIGHT POTTERY
施工:UCHIDA CONSTRUCTION CO.,LTD.
所在地:淡路島
経営:DRAWERS
竣工:2020年9月
面積:120m2。
用途:アトリエ 兼 宿泊施設
仕上げ材料
床:1階/コンクリート土間研出仕上げ 階段一部モールテックス仕上げ 2階/ラーチ材フローリングホワイトオイル仕上げ
壁:既存RC駆体 一部白塗装仕上げ
家具:オリジナル円形テーブル/オーク材ソープフィニッシュ オリジナル長方形テーブル/メープル材ソープフィニッシュ(粂井製作所) ラダーシェルフ/オーク材ソープフィニッシュ(丸山木工所) 1階ベッドソファ(Complex Universal Furniture Supply) CH24(Carl Hansen & Son) PP68(PP Mobler)他
建具:エントランスドアハンドル/オーク材ホワイトオイル仕上げ
バスタブ:RCモールテックス仕上げ