HAMON by wa/ter
Glass object
DESIGN NOTE
ブラウン管/蛍光灯の再生ガラスを用いたオブジェ
水の波紋のような、有機的なフォルム
photography : Suishu Ikeda
words : Reiji Yamakura/IDREIT
小倉寛之が率いる、大阪を拠点とするデザイン事務所 DRAWERSが、2020年7月に「人や環境とともに循環していく」ことをテーマに掲げるブランド「wa/ter」を立ち上げ、オリジナルプロダクトなどの取り扱いを始めた。
HAMONは、wa/terから第一弾として発表されたプロダクトの一つで、テレビのブラウン管や蛍光灯の再生ガラスから成形したオブジェだ。不純物を取り除き、再度溶かして固めた淡い色合いの再生ガラスに注目し、塊のような形状をデザインした小倉は、「普通の皿でもなく、こうした用途がよくわからないものは一般的なメーカーはつくらないでしょう。ただ、僕は薄っぺらなものではなく、この塊に魅力を感じ、用途への余白を残しました。wa/terでは、量産して数多く売ることが目的ではないので、マーケットを気にするのではなく、存在に魅力があって素直に惹かれるものや、時を経ても価値の変わらない普遍的なプロダクトをつくりたいと考えたのです。『HAMON』は、お皿として使ってもいいし、オブジェとして飾ってもいい。中央がわずかに凹んでいるのでアロマオイルのディフューザーとしても使うこともできます」と語る。用途を限定すると、流行が去った後にゴミになってしまう可能性が高いので避けたという。また、カラーバリエーションとして、ブラウン管のガラスを使ったブルーグレーと、蛍光灯のガラスを再生したライトイエローグリーンがある。
自身の事務所とは別ブランドとしてwa/terを立ち上げた経緯と尋ねると「DRAWERSで手掛けるデザインは、ほとんどがクライアントワークであり、さまざまな条件や要望がある中で、それらを受けて提案していく仕事です。この2、3年、そうした受け身のプロジェクトや、短いサイクルでのデザインとは別軸でのモノづくりができないか、ということを漠然と考えていました。また、デザイナーとして今後、どのような“問い”を立て、それを社会に対して投げかけていけるかが重要だと考え、その一つの手掛かりとして、wa/terを始めました。自分の中にあった、スクラップ&ビルドを繰り返すことへの疑問や、長く愛されるデザインへの思いなども、きっかけの一つです」とのこと。
現在、wa/terのサイトでは、オリジナルプロダクトに加え、タイムレスな魅力を持つアンティーク家具などの販売をしており、今後はDRAWERSのサテライトオフィス兼一棟貸し宿泊施設として竣工したばかりの「ISLAND LIVING」(淡路島)の情報も発信していくという。
(文中敬称略)
DETAIL
CREDIT + INFO
名称:HAMON / wa/ter
デザイン:DRAWERS 小倉寛之
素材:ブラウン管再生ガラス(ブルーグレー)、蛍光灯再生ガラス(ライトイエローグリーン)
サイズ:φ140 H60、φ75 H30