JURGEN LEHL Aoyama by CASE-REAL
Fashion store | Tokyo, Japan
DESIGN NOTE
ランドスケープのように考えられた、高低差を生かすデザイン
硬質な床・壁と、温かみのある無垢材とリネンクロスの対比
コンクリートの空間に差し込まれた鮮やかなカラー
photography : Daisuke Shima
words : Reiji Yamakura/IDREIT
ケース・リアルがインテリアデザインを手掛けた「ヨーガンレール 青山店」。角地に立つRC造の新築ビルの1、2階に計画されたこの店舗は、ケース・リアルにとって同ブランドと初のプロジェクトとなった。
「前面道路からエントランスまでスロープのように下り、店内はさらに50cmほど下がる高低差の大きい空間だったため、天井の高さを生かすこと、そして各部のボリュームをつなぎながら、いかにこの高低差をプラスに捉えられるようにできるかを考えた」と二俣公一は計画当初を振り返る。内装の計画ながら、公園やランドスケープをデザインするような感覚を持ってデザインを進めていったという。
エントランスに奥行きのあるステップを配した意図を尋ねると「普通の階段ではなく、スロープのような感覚で降りてもらおうと、大判のオーク無垢材で製作した3段のステップを設けた。ブランドの大らかな雰囲気にフィットするように丸みをつけ、導入部から彼らの世界観を感じてもらえるようにしたかった」とのこと。
外構を含むすべての床には、一体的な空気をつくるためにビルオーナーの了解を得て御影石が貼られた。1階では、硬質な空間の中に、天然素材を大事にするブランドの空気を加えるため、壁の一部にリネンクロスを用いたという。クロスまわりは無垢材の見切りを合わせることで、繊細な仕上がりとなっている。
天井には配線ダクトの機能に加え、ハンガーラックなどの支持に利用できる溶融亜鉛メッキ仕上げの照明ラインをオリジナルで設えた。ラインと直交方向に取り付ける特注パーツも製作し、様々なディスプレイに対応できる機能的なものだ。ギャラリー利用を想定した2階は、1階と明確な違いをつくるため、ブランド側と対話しながらアバンギャルドな配色を採り入れたという。
「ヨーガンレールが持つ独自の価値観や、時間の捉え方をくみ取りつつ、現代性とのバランスを考えていく設計プロセスだった」と二俣が語る青山店は、時に緊張感を与えるようなコンクリートと御影石の空間に、曲面の意匠や温かみのある素材を組み合わせることで、天然素材の魅力を生かす同ブランドのファッションと共鳴するものとなっている。
(文中敬称略)
DETAIL
CREDIT
名称:ヨーガンレール 青山店
設計:ケース・リアル 二俣公一 下平康一
照明計画: BRANCH LIGHTING DESIGN 中村達基
施工:アレンズ クラフト
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所在地:東京都港区南青山
竣工:2020年4月
面積:230.28 m2
用途:物販、ギャラリー
仕上げ材料:
床/御影石
壁/既存コンクリート打ち放し リネンクロス張り + オーク無垢材見切り 2階 一部左官材(モールテックス)
天井/既存コンクリート打ち放し
1階ステップ/オーク無垢材染色 + ウレタンクリア塗装
棚什器/オーク無垢材染色 + クリアワックス仕上げ
ハンガー什器/オーク無垢材染色 + クリアワックス仕上ワイヤー吊り、スチール製エンドキャップ(溶融亜鉛メッキ仕上げ)取り付け
照明ラインシステム/スチール溶融亜鉛メッキ特注製作