AESOP Shinjuku by CASE-REAL
Retail store | Tokyo, Japan
DESIGN NOTE
ステンレス鏡面仕上げと粗い左官材の対比
ミラーの写り込みとランダムな光の反射
ロケーションから導き出したデザイン
photography : Daisuke Shima
words : Reiji Yamakura/IDREIT
Case-Realがデザインを手掛けた、オーストラリア発のボタニカルスキンケアブランド、イソップの路面店。日本一の乗降客数を有する新宿駅近くに位置する。
「高層ビル群や行き交う人で溢れる新宿の空気を表現しながらも、それらと対極にあるイソップの大らかさと、来店者が安らげる場所をどうつくることができるかを考えた時に、思いついたのが鏡面の仕上げでした。いくつかの金属や色付きの仕上げを検討した後、最終的にメインマテリアルとして、鏡面仕上げのステンレスを選択しました」と二俣は当初のアイデアを語る。
一部曲面を描く壁に合わせて設置されたステンレス鏡面仕上げの棚は、上部は厚さわずか15mmの棚板が整然と配され、足元には同素材で扉付きのストック棚が設けられた。棚板の手前側は上面のみ凸のアール状にデザインされた繊細なもので、各部の形状は精度高く製作できるように工夫したという。
天井の照明器具は、「この空間では、機能が求められる部分がすべて鏡面仕上げで存在している、という状態にしたかった」という意図から、ダウンライトではなく、露出するスポットライトが用いられた。照明計画を手掛けたBranch Lighting Designの協力のもと、既製のコンパクトなスポットライトをカスタムし、円筒形の筐体を鏡面で仕上げた特注品が使われている。機械的なパーツが目立つことを避けるため、天井に取り付けるフランジ部分は、マグネットで取り外しできる機構の薄いプレートとするなど、細部にまで配慮した器具が、マテリアルと質感を絞り込んだ空間の完成度を高めている。
また、ステンレスと対比的な素材として、掻き落とした粗い表情の左官材が壁と床に用いられた。床は、耐久性とメンテナンス性を考慮して、やや穏やかな仕上がりとしている。
平面上は、不整形な区画に対して鏡面仕上げのディスプレイ棚、手洗いボウルのあるカウンター、POSカウンターなどが、正対せずそれぞれ異なる角度で向かい合うように配置された。この配置は、「屋外からの視線や、店内を歩くことで常に変化する写り込みを狙って計画しましたが、鏡面はそれ自体が強く主張して見える時もあれば、存在をあまり感じさせない瞬間もあり、想像以上のおもしろさと発見がありました」と二俣はミラーの効果を語る。
過去にCase-Realが手掛けた、地元産の石材を採用した「イソップ 札幌ステラプレイス店」のような直接的な解釈とは異なる地域性へのデザインアプローチにより、イソップにふさわしい“新宿感”の表現を求めた結果、煌びやかで人工的なステンレスのボリュームと、ラフな表情の左官仕上げの組み合わせによる、この場所だからこそ成り立つ空間(二俣)が完成した。
(文中敬称略)
DETAIL
CREDIT
名称:イソップ 新宿店
設計:ケース・リアル 二俣公一 大仁田雄輝
施工:アンドエス
照明計画: BRANCH LIGHTING DESIGN 中村達基
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所在地:東京都新宿区
竣工:2020年1月
面積:82.1m2
用途:物販
仕上げ材料:
床/荒目左官仕上げのうえ掻き落とし
壁/荒目左官仕上げのうえ掻き落とし
天井/LGS+PB+AEP塗装
棚什器/ステンレス鏡面仕上げ
手洗いカウンタートップ/ステンレスバイブレーション仕上げ
ベンチ/座面・ファブリック貼り
照明器具/特注スポットライト