大地に浴す —「アーシング」を用いて地球を感じるスパの計画— by Itsuki Uraisami

東海大学 工学部 建築学科 岩崎研究室

 
 

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現在、人々の発展により利便性の良い生活になったと同時に、昔の生活のように大地の恵みを感じにくくなっている現状があります。そこで、改めて地球と向き合いその恵みに触れ合える建築を計画します。

大地に触れる手法として、アーシングという手法を用います。アーシングとは、手や素足といった肌で直接、大地に触れることです。地球と直接肌を通してつながることで地球の存在や大地の豊かさを体で感じとることができます。また、入浴するという行為は大地から湧き出た水に裸で入るという神秘的な行為でもあります。そんな入浴の機会に、より地球の要素に全身で触れることで最上級のアーシングを行うことができる大地に浴すスパを提案します。 

対象敷地は、茨城県笠間市石切山脈にある前山採掘場跡です。自然に囲まれ、中央には採掘の過程で湧き出した湧き水が溜まってできた湖が存在する自然豊かな土地です。ここで採石される稲田石を用いて大地に触れるアーシングを行うことを計画します。 

次に、設計手法です。敷地は、窪地となった部分であり、そこにかつてあった石を戻すように建物のボリュームを配置します。前山採掘場では、高さ3mの石のブロックを切り出して採掘したことから、岩壁には高さ3mごとに階段のような段差ができています。この高さ3mを利用し、石の層を積み重ねるように建物の形を決めます。また、採掘される際に用いられる石のブロックを差し込む、引き抜くという操作を行い、開口や浴槽となる空間を設け、採掘の過程を連想させます。 

アーシングの効果を高めるため、様々な地球の要素に触れる浴槽を設定します。地下のエネルギーを感じる温度の異なる浴槽や、引力を意識させる水の操作を行う浴槽、水面や壁面に反射する光や音の反響を感じる浴槽、屋外スパを利用した湖のビューなど、それぞれの浴槽に応じて異なる水温や水深、形の操作で浴槽を作ります。

施設にはスパ以外に、食から地球を感じる食事処、採石の過程や石を知る石の加工場があり、岩肌を見て触れることのできる屋上スペースを設け、スパ施設を利用する人以外にもアーシングを行うことができます。

かつてあった岩山に、採石という人工的な操作を加えた地形で、石や温泉、自然といった地球の恵みと人々の発展に感謝をし、広大な大地に裸で向き合い心から浴す。そんな神秘的な行為を作る建築を提案します。

words: Itsuki Uraisami

 

CREDIT

作品名:大地に浴す —「アーシング」を用いて地球を感じるスパの計画—

氏名 :浦勇 樹

学校名:東海大学 工学部 建築学科 岩崎研究室

卒業年:2025

応募カテゴリー:インテリアデザイン

 

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