NACA GALLERY by TORU SHIMOKAWA architects
Fukuoka, Japan
DESIGN NOTE
杉材のみで構成したプライベートギャラリー
揃えられた天井、壁、床の目地
photography : Hiroshi Mizusaki
words : Reiji Yamakura/IDREIT
画家の依頼により、建築家の下川徹が設計したプライベートギャラリー。設計にあたり「一方は抜けの良い田園風景が望めることから、画家が作画中に見ている風景と、展示する作品のみに意識を向けたい」と考えたという。
開口部の意匠と、一つの素材のみで覆った意図を尋ねると「田園は四季折々で異なる表情を見せます。その風景と作品の背景に徹するべく、製材所の倉庫に眠っていた日本で最も流通している杉板を、天井・壁・床に目地を徹底し、半端が一切出ないように張り巡らせました」とのこと。実現に苦労したことを聞くと「無垢材は呼吸をするように生きているので、梅雨時期は膨らみ、冬は乾燥して痩せます。苦労は私ではなく、材をみながら施工をした大工でしょう」との答え。
その丁寧な扱いとノイズとなる枠などの存在を極限まで減じた意匠により、作品に向き合うに相応しい空気が生まれた。
(文中敬称略)
DETAIL
所在地:福岡県
用途:ギャラリー
竣工:2019年6月
仕上げ材料
床・壁・天井:杉材