TURN+ by Nao Tamura

Ambientec

TURN+ | Nao Tamura | photography : danielkaihirao

TURN+ | Nao Tamura | photography : danielkaihirao

 

DESIGN NOTE

  • 屋内外で使えるポータブルなLED照明

  • 金属削り出しによる洗練されたボディ

  • クリスタルガラスから放たれる温かみのある光

EN

photography : danielkaihirao, Hiroshi Iwasaki

words : Reiji Yamakura/IDREIT

 
 

ニューヨークを拠点に活動するデザイナー、田村奈穂がデザインを手掛けた、コードレスの照明器具「TURN+(ターンプラス)」が、日本の照明ブランド、アンビエンテックから発売された。TURN+は、2019年発表の、同じく田村がデザインしたコードレスの照明スタンド「TURN」の姉妹モデルで、ベースとなる電源部分は共通だが、オリジナルのLED光源や操作部を含め、新たなコンセプトにより開発されたものだ。

 
左が2019年にデビューした「TURN」、右が今回新たに発表された「TURN+」  photography: danielkaihirao

左が2019年にデビューした「TURN」、右が今回新たに発表された「TURN+」 photography: danielkaihirao

 

デザインの意図を田村に尋ねると「TURNは、机上で手元を照らすタスク照明として開発されたもので、金属の削り出しというマテリアルの特徴を生かしながら、形状は存在感をできるだけ消すようなデザインをしました。それに対して、今回のTURN+では、空間の雰囲気をつくるアンビエント照明が求められたので、素材は同じですが、TURNよりも少し存在感があり、どんな気分のときにも寄り添いたくなるような光を灯す、ポータブルな器具のデザインを検討していきました。

 
金属の塊を削り出す製造プロセスからも多くのインスピレーションを得たと田村は振り返る。

金属の塊を削り出す製造プロセスからも多くのインスピレーションを得たと田村は振り返る。

 

私は普段デザインをする際に、きれいな形から考えるのではなく、ストーリーから入っていくことが多いのですが、TURN+では、アンビエンテックの持ち味である、色にこだわったLEDやバッテリーなどの高い技術力を生かすことと、日頃から自分の中で感じていた大量生産に対する疑問とを重ね合わせ、形はそれらの背景から自然と導かれるようなデザインのプロセスになりました」と振り返る。

ボディの素材はTURN同様、ステンレス、真鍮、黒く仕上げたアルミニウムの3種類があり、光を拡散するシェードには透明度の高い、削り出しのクリスタルガラスが採用されている。防水性能が高く、屋外やバスルームで使用できることも特徴の一つだ。また、ガラス部分を保護する亜鉛ダイキャスト製の繊細なケージのデザインについては、「TURNの開発時から、削り出しによるエッジが立った形状は、デザイン上とても大切にしてきた要素なので、TURN+でもその世界観を保ち、インダストリアルな雰囲気がありながらエレガントに見えるよう、エッジの形状や太さの微調整を重ねました」という。

 
細部までこだわってデザインしたというケージのスケッチ。

細部までこだわってデザインしたというケージのスケッチ。

 

点灯する際は、ガラス下のタッチセンサーに触れることで、点灯・消灯と4段階の調光を行うことができる。また、調光と連動しながら色温度がろうそく色の1900Kから電球色の2400Kまで変化する光源には、この器具のために新開発したオリジナルのLEDユニットが使用された。

アンビエンテック代表の久野義憲は、開発の経緯をこう語る。「かつてのTURNは発光部分の面積が広かったため、2色のLEDを組み合わせ、4段階に調光調色しましたが、TURN+は、クリスタルガラス下側の中央から光を出すために、ワンユニットに2色のLEDの素子を配置した、オリジナルの新光源 LED『サニーサイドアップ』を開発しました。調光ができても色温度が変わらないLEDでは、私たちが目指す、自然界にある太陽光の色の変化やろうそくが燃焼する時の心地よい光を表現できず、また、色温度の幅についても、電球色からろうそく色までカバーする光源はなかったので、自分たちで開発する必要があったのです」。また、クリスタルガラス下面から光を拡散するための特殊加工には、これまでガラス製の照明器具を展開してきたアンビエンテックの技術が応用されている。

「TURN+」は、次々と新製品が生まれ続ける家電の消費サイクルとは一線を画し、長く愛着をもって使えるものをつくりたいというデザイナーの願いと、使うほどに味わいの増す素材感にこだわり、パーツごとの交換にも対応する設計によりロングライフを実現しようとするメーカーの思想が合致したことで生まれたプロダクトだ。

(文中敬称略)

 


DETAIL

クリスタルガラスのシェードを保護するケージは、鋳造により継ぎ目のない形を実現している。photography : Hiroshi Iwasaki

クリスタルガラスのシェードを保護するケージは、鋳造により継ぎ目のない形を実現している。photography : Hiroshi Iwasaki

シリンダー状のクリスタルガラスのシェードの下に、アンビエンテックオリジナルの「サニーサイドアップ」と名付けられたLED光源が設置され、4段階の明るさに連動して、色温度が2400Kから1900Kまで変化する。photography : Hiroshi Iwasaki

シリンダー状のクリスタルガラスのシェードの下に、アンビエンテックオリジナルの「サニーサイドアップ」と名付けられたLED光源が設置され、4段階の明るさに連動して、色温度が2400Kから1900Kまで変化する。photography : Hiroshi Iwasaki

カラーは、TURN同様にステンレス、ブラス、アルミニウムブラックの3種類がある。 photography :  Hiroshi Iwasaki

カラーは、TURN同様にステンレス、ブラス、アルミニウムブラックの3種類がある。 photography : Hiroshi Iwasaki

 

CREDIT + INFO

製品名:TURN+(ターンプラス)

デザイン:田村奈穂

メーカー:Ambientec


発売:2021年4月

素材: ベース/ステンレス、ブラス、アルミニウム

ランプシェード/クリスタルガラス、拡散塗装

ケージ/亜鉛ダイキャスト+メッキ(ブラックのみ塗装)

充電台/ステンレス、ブラス、アルミニウム

カラー:ステンレス、ブラス、アルミニウムブラック

使用光源:アンビエンテックオリジナル“サニーサイドアップLED” (演色性Ra95、色温度 1900K〜2400K)

電源:充電式リチウムイオンバッテリー

サイズ・重量:

ステンレス/本体 外径φ約89mm 高さ約165mm 約1350g、充電台 外径φ約89mm 高さ約12mm 180g

ブラス/本体 外径φ約89mm 高さ約165mm 約1390g、充電台 外径φ約89mm 高さ約12mm 190g

アルミニウムブラック/本体 外径φ約89mm 高さ約165mm 約1030g、充電台 外径φ約89mm 高さ約12mm 180g

 
 
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