VISIONARIUM THREE Marunouchi by Teruhiro Yanagihara Studio
Cosmetic store | Tokyo, Japan
VISIONARIUM THREE Marunouchi | Teruhiro Yanagihara Studio | photography : Takumi Ota
DESIGN NOTE
ジェンダーレスなブランドに最適化した空間
自然素材を用いた繊細なデザイン
化粧品に用いる原材料を混ぜたテラゾパネル
photography : Takumi Ota
words : Reiji Yamakura/IDREIT
コスメティックブランドの「THREE」、メンズコスメを含め、性差、年齢を限定しないブランド「FIVEISM × THREE」の両ブランドを複合したコンセプトショップのデザイン。Teruhiro Yanagihara Studioにとって、初の同ブランドとのプロジェクトとなった。
デザイナーの柳原照弘は、ジェンダーレスを標榜する新たな取り組みにあたり、THREEがこれまで大切にしてきた「自然からのインスピレーションをもとに本質的なものをつくる」という理念に基づく空間を目指したという。
インテリアは、落ち着いたアースカラーを中心に、着色された素材ではなく自然由来のマテリアルが多用された。化粧品の店舗では、これまで敬遠されることの多かった天然素材の使用について、「一般的には、経年変化する木材や石などは避けられてきましたが、ここでは各部の機能に応じて、水分が染み込みにくい素材や汚れにくい自然素材を選定しました。また、そうした素材をただ取り入れるだけでは、ぼやっとした印象となるため、什器や建具は金物で精度を出しつつ、ナチュラルな素材を合わせるデザインをしています」と柳原は振り返る。例えば、シェルフの方立てには、自然に割った表情を見せるため、斧で割ったニレの無垢材を用い、カウンター腰のテラゾには、THREEの化粧品の原材料に使われる石を取り寄せて混ぜ込んだというこだわりようだ。
自然からのインスピレーションに、洗練された知性と自然の大胆さを取り入れることを意図したというデザインにより、他のナチュラル系ブランドとの明確な差別化がなされている。
（文中敬称略）
DETAIL
壁の一部には、天然石を用いた。横方向に走る目地幅は3.5mm、中央に収まるスチール枠の厚みは3.2mmと、細やかなディテールへの配慮が徹底されている。
荒々しい表情を見せるため、斧で割ったニレの無垢材を棚の方立に用いた。見付側の一面だけ、ラフなテクスチャーとしている。
什器には、THREEの商品に使われる自然石を混ぜ混んだテラゾを使用。テラゾはステンレス枠に収めてパネルとすることで、精度感を高めたという。
カウンターのディテール。天板には、Kvadratのリサイクル素材を使用。各部に金属素材を組み合わせることで、シャープな見栄えを実現している。
CREDIT
名称： VISIONARIUM THREE Marunouchi
設計：Teruhiro Yanagihara Studio 柳原照弘 許 瀚升
照明計画：NEW LIGHT POTTERY
施工：株式会社キクスイ
所在地：東京都千代田区丸の内2-5-1 丸の内二丁目ビル 1F
経営：株式会社ACRO
竣工：2018年11月
面積：117m2
用途：物販店
仕上げ材料：
床 / 墨入りモルタル金ゴテ押さえ
壁 / 墨入りモルタル金ゴテ押さえ 一部 天然石（水磨き）貼り
カウンセリングスペース壁 / ブラックウォールナット突き板
什器 / スチールフラットバー + 特注天然石混入テラゾパネル
カウンター天板・レセプション天袋 / Really（Kvadrat）
引き出し / ブラックウォールナット突き板
シェルフ方立 / ニレ無垢材
