ARTIZON MUSEUM by TONERICO: INC.

Tokyo, Japan

ARTIZON MUSEUM | TONERICO: INC. | photography: Satoshi Asakawa

ARTIZON MUSEUM | TONERICO: INC. | photography: Satoshi Asakawa

 

DESIGN NOTE

  • 空間の連続性と、街に開くことを意図した内外装デザイン

  • 旧美術館のデザインと歴史へのオマージュ

  • ディテールと素材への探求

 

PUBLIC AREA (1F-3F)

 

GALLERY (4F-6F) & EXTERIOR

EN

photography : Satoshi Asakawa

words : Reiji Yamakura/IDREIT

 
 

2020年1月18日に、かつてのブリヂストン美術館が、ビルの建て替えを機に新館名「アーティゾン美術館」として生まれ変わった。新しい館名は、ARTとHORIZONからの造語であり、「創造の体感」をコンセプトに掲げた同美術館では、都市に開くことを意図し、また、旧美術館や京橋という立地の魅力を継承したデザインがなされた。

美術館デザインを手掛けたTONERICO: INC.は、「仕切り」と「囲み」という二つのプリミティブな手法を用い、旧美術館で体感した「空間の連続性」の新たな解釈を新美術館に込めるべく、外装デザインを含め、1階から6階に及ぶ各フロアのデザインを構築していったという。

プロポーザルコンペへの参加から7年間という長いスパンの中で、「すべてのデザインエレメントにおいて新美術館オリジナル」であることを掲げ、「施工精度を含めて、妥協せずに徹底的にデザインを追求したプロジェクトだった」とTONERICO: INC.の米谷ひろしと君塚賢が振り返るように、仕上げ材の目地、オリジナル開発した家具に至るまで、彼らの思想が色濃く現れたものとなっている。

また、美術館のサイン計画は廣村デザイン事務所、ユニフォームデザインはN.HOOLYWOODが手掛けた。

(文中敬称略)



DETAIL

250mm角の御影石は1辺を斜めにカットし、そのカットした部分を縦にランダムに配することで、独特のパターンを見せる。

250mm角の御影石は1辺を斜めにカットし、そのカットした部分を縦にランダムに配することで、独特のパターンを見せる。

1階エントランスホール床の大判テラゾーには、旧ブリヂストン本社ビルに見られた、かつて倉俣史朗がデザインしたパターンからインスピレーションを得たという、10mm幅の白い直線模様がデザインされた。

1階エントランスホール床の大判テラゾーには、旧ブリヂストン本社ビルに見られた、かつて倉俣史朗がデザインしたパターンからインスピレーションを得たという、10mm幅の白い直線模様がデザインされた。

3階ホワイエ。正面に見えるのは、“泡”をモチーフに、白いスチールロッドで制作されたオブジェクト「FOAM」。

3階ホワイエ。正面に見えるのは、“泡”をモチーフに、白いスチールロッドで制作されたオブジェクト「FOAM」。

建築の通り芯を元にした目地割りを壁や天井の意匠にも反映することで、整然とした印象をつくり出している。

建築の通り芯を元にした目地割りを壁や天井の意匠にも反映することで、整然とした印象をつくり出している。

4階の展示室。展示作品と鑑賞者の境界を示すために、床のフローリングの貼り方向を変えている。また、フローリング間の5mmのスリットは空調吹き出しとして機能する。

4階の展示室。展示作品と鑑賞者の境界を示すために、床のフローリングの貼り方向を変えている。また、フローリング間の5mmのスリットは空調吹き出しとして機能する。

展示室の後に用意された、図録などを閲覧できる4階のインフォルームでは、棚板の間隔と厚みをグラデーション状に変化させた、壁一面の書棚がデザインされている。左手壁面には、赤みを抑えた色調に成分を調整した真鍮の特注パネルを使用。

TONERICO: INC.がこの美術館のためにオリジナルデザインした椅子。米谷と君塚の恩師である、内田繁が手掛けた一連のスチール製の椅子を参照し、さらに進化させるべく、素材を木に置き換えてデザインされたもの。

 

TONERICO: INC.の米谷ひろしさんと君塚賢さんに「アーティゾン美術館」のコンセプトを聞いたインタビューはこちら


CREDIT

名称:公益財団法人石橋財団 アーティゾン美術館

設計・監理: 株式会社日建設計

美術館デザイン: TONERICO: INC. 米谷ひろし 君塚 賢 北原 皆 佐々木洸奈

美術館サイン計画:廣村デザイン事務所

美術館ユニフォームデザイン: N.HOOLYWOOD

施工: 戸田建設株式会社

所在地:東京都中央区京橋1-7-2 ミュージアムタワー京橋内

主要用途:美術館

敷地面積:2,813.74 ㎡

建築面積:2,212.83 ㎡

延べ面積:6,715 ㎡(美術館部分)

展示面積:2,052 ㎡( 4 階 702 ㎡、5 階 612㎡、6 階 738㎡)

開館:2020 年1 月18 日 

仕上げ材料:

床/大判テラゾータイル(鳥居セメント工業)、オーク無垢材フローリング染色(一部フローリング5mmスリット間に空調吹き出し仕様)

壁/250mm角黒御影石JB仕上げt25mm、250mm角インド砂岩サンドブラスト仕上げt25mm、特注真鍮パネルt3mmバイブレーション仕上げ、スチールパネルt3mm亜鉛メッキ+リン酸処理仕上げ、特注真鍮パネルt3mm(菊川工業)

オリジナル家具/チェア・ナラ材染色仕上げ(カンディハウス)、オリジナルソファベンチ(アルフレックスジャパン)

 

インテリアデザイン・建築系の仕事に特化した求人情報ページ。掲載のご案内はこちら

 

RELATED POST

#TONERICO: INC.

 

#STORY