DAN DAN DAN HOUSE by 2id Architects
Shizuoka, Japan
DESIGN NOTE
3機能を立体的に配した空間構成
半透明ポリカーボネートを壁に用いた共有リビング
ハイサイドライトによる採光
photography : Kiyoshi Nishioka
words : Reiji Yamakura/IDREIT
2id Architectsの岡田宰が設計した、浜松の工場が多くある地域に新築された二世帯住宅のデザイン。
立体的なひな壇状の構成について岡田に尋ねると、「3階建の建物とグラウンドに挟まれた、外部に積極的に開くことが難しい環境の中で、プライバシーを保ちながら、内部空間は光が集まるようなスペースにしたいと考えました。また、母1人、子供を含む息子家族6人が同居するというアンバランスな人数比率をどのように配置すべきかを考え、中央に天井の高い共有リビングを設け、その一方に母のエリア、もう一方の二層あるボリュームに6人家族のエリアとする立体的な構成としました。そして、三つのボリュームの高さを段々にずらすことでハイサイドライトから光を採り入れる計画としています」。
共有リビングのデザインについては、「高窓から多くの光が集まり、自然と家族が集う中庭のような象徴的な場所にしたいと考えました。リビングに集まった光は、半透明のポリカーボネートの壁を通して隣接する部屋に拡散します。この壁を透過した柔らかな光が空間を緩やかに繋ぐと同時に、半透明の壁が二世帯のプライバシーを保ちながら互いの生活の気配を感じられるものとしています」と語る。ポリカーボネートパネルの縦目地はコーキングのみとし、フレームレスの納まりを実現するためディテールの設計には特に気を使ったという。
床は、つい座ったり寝転んだりしたくなるような、フローリングなどハードな床材に比べて生活スピードを下げる効果を狙い、畳が選択された。特徴的な明るいグリーンの螺旋階段をリビングに設けた意図を聞くと「子供部屋のある2階から直接リビングにアクセスできるようにすることで、家族の行動をより身近に感じられるようにしたかったことが一番の理由です。この階段に加え、6箇所の出入り口を設けたリビングは、この家の中で動線の中心として機能しています。また、畳とらせん階段という異質な組み合わせがアイキャッチになると考え、階段の色は畳との連続性から緑にしました」とのこと。700mm床上げしたリビングの床下は、大型の収納スペースとして活用されている。
畳と半透明のポリカーボネートを組み合わせた、“光を集める装置”と岡田が呼ぶユニークな共有リビングの存在が各スペースをおおらかに繋ぎ、この二世代住宅に求められた課題を解決している。
(文中敬称略)
DETAIL
Dan Dan Dan Houseのためにデザインされた「DDD SOFA」の記事はこちら
所在地:静岡県浜松市
用途:住宅
竣工:2020年5月
敷地面積:345.73m2
建築面積:146.57 m2
延床面積:206.11 m2
仕上げ材料:
屋根・外壁/ガルバリウム鋼板 立平葺き
開口部/アルミサッシ
床/共有リビング・琉球畳敷き DK・複合フローリング(モンスターオーク/望造) ウレタン塗装特注色
壁/共有リビング・複層ポリカーボネート板t22(Danpanel/DANPAL) DKおよび寝室 ・PB下地クロス貼り
天井:PB下地クロス貼り 共有リビング登り梁・2×8材EP薄塗り
キッチン収納:ステンレススチールバイブレーション仕上げ、メラミン化粧板
ダイニングキッチン階段:オーク集成材
照明器具:ペンダント照明(SUSPENCE / Fritz Hansen)