DDD HOTEL by CASE-REAL

ビジネスホテルの改修計画。通常のホテル機能に加え、建物内にはアートギャラリー「PARCEL」と、実験的なキッチンスタジオ「nôl」が併設された。

アーチ窓のあるレンガタイル貼りの既存ファサードの意匠は残しながらも、室内は客室の間仕切り壁の移動や水回りの刷新を含めた大掛かりなリ・デザインがなされた。要素を極限まで削ぎ落とした1階エントランスと、かつて客室フロアだった2階は、チェックインのスペースとカフェカウンターを設けた、広がりのある共用部として生まれ変わった。

客室は、上質な寝心地を担保する高機能ベッドマットを採用する一方で、テレビなど不要な機能を取り払った潔い構成。水回りには、ビジネスホテルでは異例と言えるモザイクタイル仕上げの在来工法を用い、いわゆるチェーンホテルとの差別化がなされている。

カラースキームの中で重要な位置を占めるグリーンは、利用者がリラックスできるための色として落ち着いたモスグリーンが選ばれた。白いパレットの上に置かれた、目弾き塗装により木目を感じさせるグリーン、差し色としてポイントに用いられた真鍮、タイルのライトグレーが、このホテルの豊かなアイデンティティーを形成している

「DDD HOTEL」のデザインプロセスをCase-Realの二俣公一さんにじっくりと聞いたインタビューはこちら「Interview with KOICHI FUTATSUMATA / Case-Real —part 1」

DETAIL

真鍮プレートにエッチングでホテル名を表記した屋外のサイン。既存の外装レンガタイルとサイズを合わせてデザインされた

2階のレセプションとカフェ機能を兼ねるカウンター上のライン状の照明器具にも真鍮が使われている。天板はウォールナット

2階の吹き抜けまわり。共用部に外光を取り込むため、今回の改修で大きな開口が設けられた。階下はエントランスホール

木目の表情を見せるように仕上げた家具のモスグリーンと白い壁によるミニマムな設えの客室。LEDクリア球を使ったブラケット照明はオリジナル

CREDIT + INFO

名称：DDD HOTEL

ディレクション：Aid Inc

設計：ケース・リアル二俣公一　下平康一　有川靖（パートナー）

施工：田辺建設　TANK

照明計画： BRANCH lighting design 　中村達基

家具製作：E&Y

サイン計画：Aid Inc

コーディネーション：Aid Inc

所在地：東京都中央区日本橋馬喰町

竣工：2019年5月

建築面積：557.78m2

延床面積：4614.47m2

用途：ホテル

客室数：122室

仕上げ材料：

エントランス扉、2階カウンター上照明器具、サイン／真鍮オリジナル製作　 1階床／磁器質タイル貼り　2階カフェカウンター天板／ウォールナット板目無垢材　壁／白AEP塗装3分ツヤあり　造作家具／モスグリーン目弾き塗装　客室階通路壁／造作家具同色AEP塗装3分ツヤあり　客室ブラケット照明／スチール製オリジナル製作＋LEDクリア球　浴室／モザイクタイル貼り　洗面台／DURAVIT 　家具／オリジナル製作（E&Y）