IWAI OMOTESANDO by Puddle
Function venue | Tokyo, Japan
DESIGN NOTE
装飾を抑えた、ウエディングのための空間デザイン
コンテクストに呼応するディテール
現代の用途に合わせたプログラム構築とアウトプット
photography : Nacasa & Partners
words : Reiji Yamakura/IDREIT
オーダーメイドの結婚式を手掛けてきたウエディングプロデュース企業が、創業から6年を経て、初めて構えた自社施設。「世界で最も人生を祝う企業」というビジョンを掲げる施主のフィロソフィーを元に、結婚式場の定義をあらためて考え直すような施設づくりが、Puddleに求められた。具体的なデザインの前に、設計に必要なプログラムを組み立てるべくディスカッションを繰り返し、結婚する2人を祝うだけではなく、祝いに来てくれる友人、知人、家族らに感謝を伝え、参列者も含めた「全員が主人公になる」というコンセプトが形づくられていったという。
外部のアプローチには、ゲストの“お祝いする気持ち”を高める仕掛けとして、赤く染めた材で囲まれた、ちょうど1人で歩くことのできる幅の参道が計画された。セレブレーションホールでは、「人の原体験につながるようなイメージ」と加藤が語る無機質なグレーの洞窟のような空間に、外部から一筋の光が差し込む丸窓と、その窓を中心に参列者が向かい合うベンチがデザインされている。
非日常的な要素で演出された豪華な結婚式場とは一線を画し、結婚する2人から参列者への手紙を置くレターギャラリーや高砂席を持たないバンケットのように、IWAIオリジナルの空間が散りばめられている点が極めてユニークである。“祝う”という行為に焦点を当て、従来の価値観にとらわれない新たな施設を目指した施主と、プログラムから構築することを厭わないPuddleのクリエイティビティーが重なり合うことで誕生した、祝祭のための空間である。
(文中敬称略)
DETAIL
CREDIT
名称: IWAI OMOTESANDO
設計:Puddle 加藤匡毅 佐藤祐樹
設計協力:campsite
施工:ディー・ブレイン
照明計画:モデュレックス
特殊照明:ニューライトポタリー
植栽:TSUBAKI
特注ハンドル:LOCALOGIC
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所在地:東京都渋谷区神宮前 5-6-15
経営: CRAZY, Inc.
竣工:2019年1月
面積: 1134.08m2
用途: 結婚式場
仕上げ材料:
外部参道/赤松材朱染色仕上げ150×30 1階レターギャラリー床/コンクリート平板 同室ドアハンドル/真鍮丸パイプバイブレーション仕上げ+革ひも 1階セレブレーションホール壁/モルタル仕上げ 同室ベンチ/木下地モールテックス仕上げ+一部オーク材オイル仕上げ 2階バンケット内カウンター/札幌軟石水磨き仕上げ