AD HOC / DAISUKE SHIMA
赤井さんとの出会いは2009年。
当時、大阪を拠点としていたアンドエス代表の金光さんから、東京支社を出すのでよろしく頼みますと連絡を受けました。当時、私は大阪出張も多く、金光さんにもとてもお世話になっておりました。その後、すぐに撮影をすることになるのですが、当時私は駆け出しでアシスタントもおらず、小さくてモノに溢れたスペインバルを、赤井さんと二人で汗だくで撮影したのを覚えています。
赤井さんの印象は誠実で潔癖な人。
30代前半では色々なデザイナーたちの会合に行って、知人をご紹介したりもしたのですが、お金にならない友人クライアントからの仕事も喜んで引き受けてくれて、お礼の連絡をいただいたりと、本当に律儀な方でした。飲みに行った後も全員を近い順にタクシーで送って帰るのですが、余計に時間が掛かるんです(笑)。
2020年のコロナ前、アンドエスの金光社長が体調をくずした後に復活したということで、大阪のデザイナーを集めて激励会を大阪で企画しました。その際、赤井さんにも相談したのですが「自分だったら絶対こんな会をしてもらえない、金光さんは幸せだ」と自分のことのように喜んでいました。いやいや、赤井さんが退院して復活したら、みんなで盛大にお祝いするつもりでしたよ。
もう少し、昔話をツマミに飲みにでも行きたかったです。気がつけば、自分の人生における周りの大事な人を赤井さんが繋いでくれたんだなと感謝の気持ちでいっぱいです。
ご冥福をお祈りします。
またシガーとROYALで乾杯しましょう。
写真については、私自身が赤井さんとプロジェクトを進める立場ではありませんでしたので、今回は赤井さん行きつけの小料理屋「銀座 しも田」を撮影させていただきました。実は、写真を数点選ぶよう依頼を受けてから、赤井さんを表す写真とは、ということを思案していました。赤井さんの地元の風景なども考えてみたのですが、何か違う気がして、選ばせてもらったのがこのお店です。かつて、私もご一緒したことのあった「しも田」は、赤井さんがいつも若手デザイナーらを連れて通っていました。空調設備の工事まで赤井さんたちが手掛けており、赤井さんらしさというか、その人柄を語ってくれる場所だと思い、お店の方にもご協力いただいて撮影してきたのがこの1枚です。